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18-2
「父上……皇帝陛下にお願いがございます」
「なんだ申して見ろ」
「早急にルミエールとの婚儀を認めると他国へ打診していただきたく」
「ほう。それはかまわないが……揉めたか?くっくくく」
「はあ。少し」
なんですと!揉めたとは?炎の国に喧嘩を売ってきたのではないでしょうね?
「ですがあちらの王との契約書はここにあります。署名捺印も目の前でしました」
「契約書? ……婚儀を前提に勝手に契約を結んだのですかっ!」
思わず声を荒げてしまった。契約書など国と国が決める協議ではないか?それを単独で判断するなどとはまだ思慮が浅い!
「そうだ。だからあちら側に不利な内容だとバレて少々面倒になりそうなのだ」
「はああ?」
何が面倒なのだ?何をしてくれた?ああ、胃が痛くなってきた。そんな淡々と言わないで欲しい。
「あーっはっはははははは。やってくれたな。ひぃひぃ。はあ、久しぶりに笑ったわい」
「陛下!笑い事ではありません!」
「くくく。そうだがな。息子が初めて年相応な事をしたのだぞ。嬉しいではないか」
ご存じでいらっしゃったのか。イスベルク様はこれまで人の上に立つようにとご自身の年齢を超えるほどの努力をかさねてきた。統率をとるためにはチカラと威厳が必要だったためだ。そのため子供らしさは失われてしまっていた。冷静すぎるほど冷静で感情すら凍らせてしまったのではないかと思われるほどに。
「ルミエールよ。お前は自分が生まれ育った国や親族をイスベルクが滅ぼしたらどうする?」
「かまいません。炎の国に良い思い出はないので。ただ民に罪はありませんのでご容赦くださればと」
「うむうむ。良い答えだ!イスベルクよ。お前そこまで考えてなかっただろう?」
「……はい。不覚でした。俺は自分本位だったようです」
「あ、あの!イスベルクは悪くないんです。僕を助けようとしてくれて。僕はもうイスベルクのものなのです」
「なんと!お前達すでにそういう関係なのか?」
そうか色仕掛けでこの少年が落としたのか?
「か、関係?いえ、まだ何も。だから婚儀だけでも先にシたい。いやシたいじゃなくて。あぅう」
……イスベルク様の耳が真っ赤だ。こんなに取り乱した姿は初めて見た。どうしたのだ急に?
「イスベルク大丈夫?どうしたの?」
この様子ではまだなのか?何が一体どうなってるいのだ?
「なんじゃ。ふがいないのう」
ああ。とりあえずルミエールという少年には王族としてのマナーを教え込まねばなるまいな。はああ。胃が痛い。
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「まったく。胃薬が必要になるかもしれぬ」Byグラソン
続きは明日の12時へ。
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