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２-1 俺って転生者？
頭がガンガンする。ここはどこだっけ？ 俺は立原陽向。おかしいな。本屋に行った帰りにコンビニに立ち寄って大好きなシュークリームを買って……それから。それから？ なんだっけ？
寝心地の良いふかふかのベットに俺は寝ていた。色鮮やかな壁紙。どこかのホテルだろうか？ 傍に南国の植物が置かれている。どっかに旅行に来てたっけ？どこに？あれれ？
「見慣れた場所じゃない」
そうだ。こんなきれいな部屋じゃなくてもっと簡素で……ヒヒーンって？ あれ？ 混乱する頭を振りすぎたのか痛みがひどくなる。頭を押さえようとしてあげた片手に目をやると細い指先が見えた。枝みたい？
誰の手だ？ 女の人みたいな手だな。グーパー。グーパーと動かしてみる。
「げっ？ これって俺の手なのか？」
うっそぉ。やたらと細い手首。骨の形がわかるくらいじゃん。
「やせすぎじゃねえの？ メシ食ってないの？」
おかしいな。俺は剣道も空手も上級者のはずなんだがな。もっとごつごつした手だったのに。こりゃ夢かな。男性的な手じゃないってなると……まさかと思い、恐る恐る股間に手を当ててホッとする。
「よかった。ついてた。男のまんまだった」
女性になったわけじゃないんだな？ まあ夢ならちょっとぐらい女体を体験しても。いやいややっぱり男がいいな。ついでに胸も触ってみた。うんうん。ぺたんこだ。男の身体だな。性別は今までのままってことか。
「でもガリガリだな。骨ばってる」
目の端に見える髪は色が薄くて傷んだくせ毛だ。
ベッドを降りてふらふらと部屋の入口にある鏡の前に立つ。
頭に包帯を巻いたくすんだピンクっぽい色の髪。痩せた外国人がこちらを見ていた。
「あ、どうも。こんにちは……って俺かいぃいい？」
うっそーーん。鏡の中の人物は俺だった。しゃべった時の口の動きが同じだったから気がついた。それぐらい以前の俺とは違いすぎる！
ん～？ 前髪が長すぎてよく前が見えない。わざと顔を隠してたのか？ 前髪を包帯の中に入れ込むように横分けにした。
ふむふむ。おめめぱっちり。俺なの？ぱちぱち瞼をさせてみて確認する。なんだよ。可愛い顔してるじゃん？ 顔色悪いけど。
しかし着ている服がボロボロだ。ひでぇな。裾なんか焼け焦げがある。また燃やされたんだな……また？
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