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20-1 好きと言う感情 Sideイスベルク
「イスベルク!見て!なんか凄いよこの服」
目の前でルミエールがくるりと回って見せると裾がふわりと広がる。ボトムがスリムな形に対してトップスが淡い色彩のふんわりとしたブラウスだ。手触りのよい光沢のある生地でストロベリーブロンドのルミエールの髪によく似合う。
「キャンベルが送ってきてくれたんだ」
「さすが。あいつやるなあ。今夜は何かお披露目があるんじゃないかと急いで仕上げてくれたらしいぜ」
ユージナルが俺より先にこの部屋に来ているのが気に入らないが、妖精のような出で立ちのルミエールが可愛いから許してやろう。
会場にはすでに大勢の側近たちが集まっていた。
「わあ。人がいっぱいいるね。皆偉い人達なの?」
「父と俺の側近達だ。何か事が起きた時に顔をあわせることが多い奴らだな」
「そうなんだ。わかった。なるべく顔を覚えておくよ」
「そうしてくれるとありがたいが無理はするなよ」
「うん。でも必要なことでしょ?頑張るよ」
なんて健気でいじらしいのだろう。ルミエールが可愛いくて堪らない。仕草も表情も声も。そして性格もすべてが好ましい。前向きでいて物怖じしない。素直だし明るくて思いやりがある。俺の事を想って馬車の中で俺の頭を撫でてくれたのも。あんな風にされたのは幼いころ母上にしてもらったきりだ。誰かにあんな風に甘やかされた事なぞ久しい。心に小さな温かい炎が灯ったような、とても心地よいものだった。
「皆の者。今宵はルミエールの歓迎会だ。存分に楽しんでくれ」
父上の掛け声でざっと一斉に頭を下げる。ルミエールもマネをして下げているな。つむじが見えて可愛いぞ。
「ルミエール。一言挨拶をしてくれ」
俺がそっと耳元で囁くと緊張した面持ちでこちらを見た。ああ可愛い。なんど可愛いと言ったかわらかないほどかわいい。
「ルミエールと申します。今日からこの城でお世話になります。よろしくお願いします」
パチパチと拍手が聞こえる。何人かは様子を伺ってる奴もいる。そいつらの顔は覚えた。後で締め上げてやろう。俺のルミエールの挨拶に拍手をしないなんて!
「わあ。凄い。ごちそうがいっぱい。これボルシチっぽい。こっちはクリームシチュー?わあ。このお肉は皮がぱりぱりしてる。お肉が柔らかい。凄い!シャーベットだあ。幸せ~~」
「くくく。慌てずゆっくり食べろよ」
「うん。美味しいよ。ごはんが凄く美味しい!」
美味しそうに小さな口をモグモグ動かして食べる仕草がほほえましい。口元についたシチューを舐めてやりたいとじっと見つめていると俺の口元にひとさじすくって持ってくる。食べたいと思われたらしい。
「はい。あ~ん」
「うん。美味いな」
「おい……イスベルク様がほほ笑まれているぞ」
「なんと本当にイスベルク様なのか?」
外野がうるさい。俺だって笑うときは笑うのだ。ほっておいてくれ。
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「俺のルミエールはかわいいだろう?」
この続きは18時にて。
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