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21-1 護衛がついた
連れて来られた部屋は清潔感がある明るい部屋だった。氷の国の城って言うから全部氷でできているのかと思っていたがちゃんと人が住める普通のお城なんだな。入口はローブをかぶっていて良く見えなかったが人の気配が多かったから厳重に警戒されていたのだろう。それに大広間に居た時ユージナルは存在を消していてどこに居るかさえわからなかった。いつの間にかイスベルクの後ろにいた。どうやったらそんな風にできるのだろう。やっぱり鍛錬かな?
あれからオレには護衛兼侍従と言うのが付いた。
「シーヴル。午後からは鍛錬につきあってくれる?」
「かまいませんがくれぐれも無理だけはしないようにしてくださいね」
苦笑しながらもつきあってくれるのがありがたい。実は初日の晩餐会でオレは旅の疲れが出たのか食べるだけ食べてその場で寝落ちしてしまったのだ。だってどれもこれも見たことがない美味しいものばっかりで嬉しかったんだ。何やら挨拶にいろんな人が来ていたがオレは食べ物に夢中で何を話したかほとんど覚えてない。顔だけは覚えておいた。その後はイスベルクが膝の上で抱きかかえていてくれたらしい。旅の間はそれが普通だったのでついやってしまったようだ。だがそのせいでオレが溺愛されていると噂になってしまった。とっても恥ずかしい。グラソンからは王族教育と言うのを毎日指導されることになってしまった。
シーヴルは片眼鏡の紳士だ。年齢不詳だけど立ち姿や身のこなしがただ者ではない。きっと凄い人なのだろうな。教え方も上手で俺はちょっとした護身術なら出来るようになっていた。
「なかなか筋がいい。指摘したところはすぐに直してくるし教えがいがあります」
「本当?やったあ!熱だして寝込んでばかりじゃイスベルクに心配かけちゃうからね。身体を鍛えて元気にならないと。ついでに自分の身ぐらいは自分で守れるようにならないとだめだしね」
「とても良い心がけです」
ニコニコと褒めてくれるところもとっても良い。ふっふっふ。習った基本は影で練習してムッキムキになってやるんだ。めざせ肉体改造。
「今日はこの辺にしておきましょう。そろそろおいでになるかと」
城に戻ってからイスベルクは溜まっている公務の片付けで忙しいらしく前ほど一緒にはいられない。でも必ず一日に一度以上は会いに来てくれる。今日は昼食を一緒に取れなかったのでお茶の時間に来てくれた。
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「ムキムキになってイスベルクを驚かせたいんだ」
続きは18時へ。
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