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25-1 食事のはずじゃ?*
「ルミエール様。おめでとうございます」
目覚めると侍女たちが部屋にいた。昨夜はイスベルクが部屋まで運んでくれたらしい。
「……ありがとう」
これって婚姻のおめでとうだよな?なんだか面と向かって言われると無性に恥ずかしい。
「本日からお部屋が移動となります。」
「そうなの?」
侍女たちはニコニコしながらてきぱきと片づけをしていく。
「おはようございます。昨夜は一旦おかえりになっていただきました。私はルミエール様の護衛。同意がない行為は許すことが出来ません」
シーヴルが淡々としゃべる内容が何を言わんとするか心当たりがありすぎて恥ずかしい。
「えっと……ありがとう」
ひゃあ。なんだかいろいろと気を使われているのがわかる。
「さあ。こちらへどうぞ。客間ではなく本来のお部屋に行きましょう」
シーヴルがやってきて連れて行かれた部屋は今までの3倍ほど広かった。白とピンクの壁紙。だが置いてある家具は重厚そうで部屋の片隅にはトレーニング器具らしきものがあった。おお!やったぁ。これってきっとシーヴルが用意してくれたんだよね?振り返るとシーヴルが片目をつぶってくれた。やっぱり?オレの護衛は最高だ!
だけど一番驚いたのはベットが大きかった事だった。
「これってダブルベット?いや、キングサイズベット?弾力もあるんだね」
ベットの上で弾んでみせるとシーヴルがニコニコと答える。
「はい。お二人で寝られても良いように作られています」
「え?……あ、ああ。そうなの……?」
そうか。二人でね。つまりはそういうことか。急に顔が熱くなる。
「お隣がイスベルク様のお部屋でございます」
急に鼓動が激しくなる。シーヴルはなに食わぬ顔のまま、寝室の横のドアをあけた。そこは隣の部屋へと繋がっていた。そうか。ここは伴侶の部屋なんだ。
「わ……。これって。…………」
無言になってしまった。ルミエールは虐げられていたから閨指導なぞ受けたことはない。男同士ってナニをアレにナニするんだよね?スマホがあれば検索出来たのにっ。前世で格闘技オタクであったオレは女性の裸よりも男性の裸を見る方が多かった。自分はノーマルだと思っていたが……素質はあったのかも知れない。だって筋肉見たら興奮するもん。イスベルクの腕なんかすごく太くて……。なんか恥ずかしくてベットの上でもじもじしてしまう。
「グラソン様がいらっしゃるのでお着替えいたしましょうか?」
そうだった。声かけてくれてありがとうよシーヴル。しっかりしなくちゃ!王族教育とやらが本格的に始まるんだ。オレは話し方が庶民すぎると言われる。まあ簡単に言うとそんな言い方だとナメられるという事だ。おそらくこの容姿のせいもあると思うんだ。見た目がか弱そうなので仕草だけでも王族っぽくしろと言う事なのだろう。イスベルクはオレに話しかける時と家臣に話しかける口調が違うのでそれを参考にしようと思う。
「まだまだですね。上に立つのだという自覚をお持ちください」
知識を詰め込まれた頭を軽く振ると耳からこぼれてしまいそうな気がする。滅入っちゃうなあ。
「グラソン様。昼はテーブルマナーの勉強があるので今日はこれくらいで」
「おや。食事の時間も勉強に取り入れるのですね。良い心がけです」
グラソンは厳しいが出来たらきちんと褒めてくれるのでやる気は出る。
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続きは18時にて。
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