27-1 欲しい人材Sideグラソン

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27-1 欲しい人材Sideグラソン

 なんでこうなった?挙式は出来るだけ引き伸ばすつもりだった。婚姻だけでも今すぐしてしまうだと?ふざけるな順番が違うとユージナルに怒鳴ると皇帝陛下のご命令だと言うのだ。陛下の命令には背くわけにはいかない。仕方なく証人にたった。やはり占いの通りなのか?  イスベルク様が城に戻られる前に占い師のミコトが現れ吉凶が間違っていたと言い出していたのを思いだす。 「どうも最近年齢のせいか読み間違えてしまって。南は凶でございました。イスベルク様が凶を連れて戻られます。アレはこの国に最凶をもたらすでしょう」 「なんともいい加減なことを!お前の占いのせいでイスベルク様がここを離れられたというのに!今更そのような話ができると思っているのか!」  どうせ炎の国の王子なぞすぐにこの国を出て行くと思っていた。城の侍従達も暴力的なわがままな末王子がやってくるのではと警戒していたのではなかったのか?いまや素直で物怖じしないルミエールに毒気を抜かれたようになっているという。  一番呆れかえったのは晩餐会の最中に。それも食事中に。倒れる様に眠ってしまっていたことだ。いくら長旅で疲れていたにしてもありえないだろう?皇帝陛下や側近の重臣たちが居るのだぞ。緊張こそすれ寝てしまうなどと。何たる失態。これが皇太子の伴侶候補だと?そしてそれを咎めることもなくイスベルク様はご自分の膝にのせてしまった。膝にだと?どうされてしまったのだ?あれだけ威厳に満ちたお方が?そんな蕩けるような顔をして。溺愛されてるのですか?そんなか細い少年を?    イスベルク様は仕事以外に興味がなかったはずなのに。何かと時間を見つけてはルミエールの元へと向かわれるようになった。 「ルミエールはいるか?」 「はい。お部屋で休んでおられます」  侍従が音もなく現れて返事をする。昼寝をしているのか?呑気なものだな。私がこんなに走り回っているのに。きっと甘やかされて育ってきたのだろう。  すぅすぅと寝息を立てて眠るルミエールの髪をかきあげ頬ずりをするイスベルク様。なんだか見てはいけないものをみたような倒錯した気分になる。 「……イスベルク?」 「ああ。起きたのか?」 「来てくれたの?僕に何か用事?」 「いや、その。食事を……そうだ、食事に誘おうと思ってきたのだ」 「食事? もうそんな時間なの?そういえばお腹減ったかも」 「そうだ。体調はどうだ?良くないのなら一緒にここで食事をしないか?」 「本当?今日は一緒にランチができるの?」    なんだと?昼の会食はどうなる?予定されている議題はいくつかあるのだぞ。寄り道をするというからついてきたらこのざまだ。まったく。 「軽くにしておいてください。会食はお茶だけにいたしますので」   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 続きは18時にて。
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