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3-2
「うるさい。お前は黙っとけ!」
イスベルクがユージナルを睨みつけるように言うと部屋の温度が下がった。うぉ? やっぱり噂は本当だったのか? ちょっと怖い。でも、俺に話しかけてきたときは優しそうな気がした。
「ちょっとイスベルク様、この子怯えてますぜ。そのチカラはこの子には強すぎるんじゃないですか?怖がらせてどうするんですか」
「なっ。お前のせいだろ!すまん。ルミエールに怒ったわけではないのだ。あ~。その。えっと、俺を庇って落ちた前後の事は覚えているのか?」
「あんまり……。たしか3番と4番が兄弟喧嘩をしてた……ような?」
「あれが喧嘩ってわけないでしょう?」
ユージナルが不服そうに言う。
「ああ。故意に狙ってきたのではと思っている」
ええ? そうなの? なんで? お客様なんでしょ?
「だいたいお忍びで来てるってことでこちらは断りを入れてるのに城に軟禁するつもりなんでしようかね?」
ユージナルがぷんすか怒っている。
「お忍び?」
「まぁな。ちょっと訳があってな」
「ええ。そうなんですよ……おや? ルミエールは今3番と4番と言ったな?」
「はい」
まだ頭痛はするし記憶があいまいなところはあるが、直近の出来事は鮮明に覚えてるぞ。あれは第三王子のグロウと第四皇子のヴァンだったよな? 間違ってたっけ?
「使用人が主人となる王家にそんな言い方をしてもいいものなのか?」
「は? ……ああ。俺……僕は一応第五王子なので」
「「ええっ! 第五王子?!」」
二人とも仲良しだな。声がそろってたぞ。めっちゃ驚いた顔でこっちを見てる。あちゃ~。そうだよね。こんなボロボロの格好でひょろひょろだもんね俺。使用人と思われていたのかあ。まあ以前のルミエールならそれもありかと凹んだのかもしれないな。
「炎の国の王子は四人までしかいないと聞いていた」
「……っ。四人って……」
そういう事か。よほど父王は俺の事を嫌っていたんだな。チカラのない側室の子は数えるにも価しないってことか? 胸が痛い。長い針で突き刺されたようだ。きっとこれは俺の中のルミエールが傷ついているんだ。こんのやろう! 怒りで握った手が震えた。ちくしょう! 王家なんぞぶん殴ってやりてぇ! 俺の目から悔し涙があふれた。
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続きは明日の12時にて。
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