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38-2
無事に来賓の方々のお見送りを終えるとグラソンがチラチラとこちらを見ていた。
「どうしたの?」
「その、ルミエール様は占いができるとか?」
「へ?……あっ!」
そういえば占い婆さんと対峙したときに苦し紛れに言っちゃたような。
「あ~。あれね、えっとまだ確率はそんなに高くないんだ」
「いいんです。そんなの、ただの占いなんですから」
うわあ。めっちゃ期待してる顔じやん。
「実はですね。今度西の国から国交を再開して欲しいと要請がありましてな」
へえ。西。西の国ねえ。確か海があったような。
「西って海鮮物とか豊富なんじゃない?」
「そうです!そうなんですよ!」
あ、しまった。その気になってしまったようだ。
「このまま外交を深めていいものか。占いを……」
「いやいや。えっとこういうのって占いじゃなくて実際に現地に赴いて視察にでてみたらどう?」
「視察ですか?」
「そうそう。色々データとか統計とってさ」
大学の時のレポート提出時に資料あつめとかにいろいろ見て回ったなあ。
「でーたにとうけい?難しそうな単語ですね。でも、実際に現地で調べるのはいい案ですね」
「そうだ!新婚旅行にイスベルクと一緒に視察に行ってくるよ!」
「はあ?……な、なんですと?」
「おお?ルミエールと旅行ができるのか?」
「うん!視察を兼ねるからこの国の役にたつかもしれないしね」
「いえ、まだ決まったわけでは……」
グラソンが慌てだすが、イスベルクは行く気満々だ。
「くっくく。お前の番は面白いのぉ。とてもじゃないが溺愛しても囲える相手ではないぞ」
「いいのですよ。父上と俺は違います。それにルミエールは愛に溺れるだけじゃなく自分の足で俺と共に歩んでくれるのですよ」
「あちこち飛び回りそうだがな」
「かまいません。俺もついていきます。基本は俺の居るこの国の事を想ってしてくれてる事なので」
「イスベルク~。あのさ。ついでに魔道具の工房とかよりたいんだ」
「何か欲しいものがあるのか」
「うん。極寒になっても農作物がとれるようにしたいんだ」
「それはこの地でか?」
「そうだよ。だからオレのチカラの一部を使える魔道具が欲しいんだ」
オレのろうそく魔法を元に疑似太陽を作り出せないかな。温室の中の温度を一定にして果物とかを育ててみたい。いろいろやりたいことが増えてきたぞ。
「ありがとう。この地をよくしようと考えてくれて」
「だってここはオレの生きていく世界だからね」
「ああ。そうだ。二人で共に生きていく世界だ」
よし!ここからはオレが物語を作っていくんだ。イスベルクと一緒に!
おわり
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本編完結しました!長らくお読みいただきありがとうございます。
後は番外編をふたつほど。
もうしばらくお付き合いくださいませ。
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