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 オレは手のひらを上に向けてぽうっとろうそくの炎を出した。その炎はぽうっぽうっぽうっぽうっぽうっ……と雪だるま式に増えていく。あっという間に会議室は常夏のような温度になった。そのまま片手をあげるとらせん状にろうそくの炎が舞い上がりくるくると宙を舞う。疑似太陽っぽいものが出来た。オレの首にはミスリルのネックレスがかけられている。普段の倍以上のチカラが出せてるのだろう。他国がミスリルを欲しがるのもわかる気がする。 「面白そうです!私は賛成だ」 「よし!。わしはこれを投資だと考えるぞ。今はそうでなくてもいづれ大きな資産に化ける可能性が高い」 「ありがとうございます。ではまずこの土地に含まれている成分を調査してください。そして交易で苗や種を集めてください。あとはミスリルの加工が上手いものを紹介してください。温室は可能であればミスリルで作ります」 「ミスリルでだと?」 「はい。鮮度を生かす魔法を構築しましょう。そしてミスリルで作る事によって他国への牽制ともなります」 「他国への牽制とは?」 「皆が欲しがるミスリルを惜しみなく作れて取れる国。それだけの財力とチカラがあるぞという事を他へ知らしめるのです」 「ふむ……なかなか面白い」 「だがそれだけ沢山のミスリルがとれるのかが問題だぞ」 「はい。……実は今言ったのは建前です。作るのは水晶や他鉱石でもいいのです。ただ他国にはミスリルで作ったものだと思わせればいいんだ」  できれば強化ガラスがいいんだけど。作れるかな?  「ルミエール。お前凄いな」 「ただ城に籠ってるだけって嫌なんだ。ちゃんとイスベルクの役にたてるようになりたい」 「俺のために一生懸命考えてくれたんだな」 「へへ。まあね。さあこれから頑張るぞ!」 「無茶はしないでくれ。何かあればすぐ俺に言うんだぞ」 「うん。わかってるよ」 「本当はこのまま閉じ込めてしまいたいくらいなんだが……」  イスベルクが後ろから抱き込んでくる。心配性なんだな。 「気にかけてくれるのはすごく嬉しい。でも甘やかされるばかりじゃ自分が何もできなくなってしまいそうで嫌なんだ。は自分の足でイスベルクの隣に立ちたい」 「ふふ。俺の伴侶はカッコイイな」 「え?本当?ずっとイスベルクにカッコイイって言われたかったんだ!……嬉しい!」 「まったく。可愛すぎる。どうしてくれよう」 「ふふふ」  こうしてオレたちは更に周囲にバカップルぶりを発揮させてしまった。
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