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番外編その2-1:ミスリルとは
なんだか最近イスベルクの機嫌が悪い。他の者の前では今までどうりなんだが、オレの前ではプリプリ怒ってる様に見える。
「まったく、どうしてこうも会議ばかりするのだ」
「国をよくしていこうといろんな案を出してくれてるからでしょ?」
「むう。良案を出してくれるのはルミエールだけだ」
「そんなことはないよ。オレはこういう経験が浅い。経験豊富の方々の意見は参考になるよ」
「何故あいつらの味方ばかりするんだ!俺は嫌だと言ってるのに」
「ふふふ。ちょっとお昼寝する?膝枕してあげるよ」
「する!」
まるで大きな駄々っ子だ。でも言われて嫌ではないんだよな。むしろ可愛いと思ってしまう。見た目は筋肉質で戦士のような身体つき。威厳のある風格。鋭い視線。だけどオレの前だけは甘えてくれる。
「あれ?イスベルクこれどうしたの?」
首筋の肌の色が少し変わっていた。
「ん~。なんか痒みがあるのだ。強く掻いてしまったのかな?」
「いや、掻いたら赤くなるんじゃないの?これってなんか肌の一部が浮いてるような?」
「……え?」
「すぐに陛下に報告いたします」
うわ。シーヴル。突然現れるとやはり驚くよ。そりゃ最初の頃よりは慣れてきたけどさ。シーヴルはあっという間に姿を消した。
「陛下に報告って……何かよくないことなの?病気なの?」
「いや、俺にもやっと龍としての成長期が来たという事かな?」
「成長期?」
「ああ。すまないが俺はしばらくここを留守にしないといけなくなった」
「オレもついていくよ」
「ウッ……。だが、マイナス0度の場所だぞ」
「暖かくしていくよ。オレ結界魔法もシーヴルに教わってるし、小さいのならつくれるようになった」
「本当か?俺の番は天才だ!本当は離れたくなかったんだ」
次の日、オレは雪だるまのように防寒具を着せられた。今から行く場所は極寒だからと何重にも重ね着をされたけど逆に着すぎて熱いよ。
「あらあら、そのまま転がりそうね。うふふふふ」
ころころと笑いながら皇后がやってきた。
「私も今の貴方と同じような格好をさせられたのよ。うふふふ。イゴールもね、最初は極寒だから連れて行けないとか言いながらすぐに戻ってきてね、君が居ないと夜も眠れないって連れて行かれたのよ。あの子ったらやることすべてがイゴールと同じ過ぎておかしいわ。ふふふ」
「はあ、そんなに寒い場所なのですか?」
「まあね。でも決して外には出さしてもらえないから。巣の中は暖かいし大丈夫よ」
「巣?ですか?」
「ええそうよ。でも心配しないでね。何度か行くうちにちゃんと生活できるようにベットやシャワーも取り付けてもらってるから快適よ」
快適な巣なのか?なんかわかんないけど興味が出てきた。きっと【龍の巣】のことだ!わあ。生で見れるなんて!やったあ。
◇◆◇
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