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4-2
「この城に居る者は炎魔法が使えるものばかりで。敵が乱入しても王様が憤怒の炎ですぐに焼き尽くしてしまうので別名魔王の城と呼ばれてて……その中に入ると蟻地獄のように抜け出せないと言われてるみたい?」
オレはルミエールの記憶の中からわかる事を必死に探り出して答えた。
「そうか。だから警備が緩くても良いと思ってやがるんだな」
「ふっふっふ。面白い。抜け出してやろうじゃないか」
「ですよね。俺らから見れば隙だからけですからね」
おっと怖いよ。なんだか二人ともめっちゃ悪い顔になってるよ? でもその顔もカッコいいな。うん。
「戦力を教えろ」
「一番は王様。使えない炎魔法はない。気まぐれで力がすべて。次は第二王子のアグニ。戦闘狂で王様に似ていると言われています。暇さえあればあればあちらこちらに闘いに出ているのでチカラのほどは知らないです。今も戦に出ていてこの城にはいません」
アグニが一番やっかいだ。争いを好み、和平交渉よりも、競争や武力で決着を付けようとする。 気質も荒々しく思慮が足りない。チカラでなんでもねじ伏せられると思い込んでいる。まあ俗にいう筋肉バカだね。こいつがいなくてよかった。もしいたらきっとイスベルクに決闘を申し込んでいただろう。戦う理由なんてなんでもいいんだ。強い者と戦ってみたいタイプだ。難癖付けて自分が勝つまでこの城に縛り付けていただろう。
前世のオレもそうだったなぁ。ちょっと格闘技ができるからって自分のチカラに過信してしまってた。プライドだけ高くなちゃってた。今ならわかるのになぁ。まあ今ここにいない第二王子はほっておこう。
「第一王子とやらは先ほど会った。あれは筋肉はあるが闘い向きではない」
「ええ。観賞用ですね」
ぷぷ。観賞用って。その通りだ。上手いこと言うなあ。へえ。いつ会ったのだろう? でも凄い。ひとめでわかるなんて。この二人はオレが思ってるよりも強いのかもしれない。へへへ。オレって凄い人達とお知り合いになれたのかも。嬉しいな。もっと仲良くなってトレーニング方法とか指導してもらおうっと。
「3番目と4番目はやんちゃでわがままです」
もうあの二人の説明はこれでいいだろう。だいたい客人が来るって言うから正装とかしてたんじゃないの? なのに暴れまくってケガ迄させそうになるって問題外だと思う。
「よし。なんとなくわかったぞ」
「ああ。わかりやすい説明だった」
「ありがとうございます。へへ」
「次はルミエールの事を教えてくれないか?」
えっと。どこまで説明すりゃあいいんだろうか。とりあえず「ルミエール」の話でいいんだよな?
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次回はイスベルクの回想です。では明日の12時にお会いしましょう。
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