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タエは何とか逃げ帰ってきたものの、一日中頭からキノコのことが離れない。 寝てもキノコの夢を見て、昼間も夫や姑の背や腕にキノコが生えている幻覚が見えてくる。
一度、姑の背に見えたキノコを採ろうと襲いかかり、息子たちに引き剥がされた事もあった。
そんなタエの様子に、家族は村人の目を気にしてタエを家に閉じ込めた。タエは食事も殆ど取らなくなり、ゲッソリとやつれてしまった。
そんなある日、タエが小屋の隙間から外を覗いていると、キヨが沈んだ顔で布に包まれた漬物石くらいのモノを持ってどこかに向かうのが見えた。
(あれは……?)
キヨの腹はもう膨らんでいない。
(赤子は男だったか……)
タエは同情の眼差しをキヨに向けた。
(あぁ、まてよ……死体から生えるキノコ……死体……)
タエはキヨの後ろ姿をじっと見つめたままニヤッと笑った。
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