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その夜、家の者が寝静まった後、タエは家を抜け出し、村外れの墓地まで走った。
墓地に着いて手前から見て回ると、隅のほうに真新しい土饅頭があるのが目に入る。
(これじゃ!!)
タエは素手で土饅頭を掘り返し始めた。跳ね返る土が着物の袖を汚し、顔にかかっても、タエは手を止めない。一心不乱に土を掘り返す。
少しすると土に汚れた白い布が現れた。
(あった!)
タエが布を少しめくると、真っ白な小さな手が月明かりに照らされた。タエは布に包まれたそれを抱きかかえると、山へと走った。
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