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山の中は木が生い茂り、月明かりは届かない。しかし、その真っ暗な闇の中を、何の迷いもなくタエが駆けていく。程なくして、おギンの小屋に辿り着いた。小屋は月明かりに照らされ、不気味に浮かび上がっている。しかし、タエは構う事なく戸を叩いて叫んだ。
「おギンさんや、タエじゃ! 言われたもんを持ってきたから、キノコを! キノコをくれっ!」
すると、戸がスーッと開いた。タエが急いで中に入ると、戸のほうを向いて座るおギンと目があった。おギンの顔を月明かりが照らしている。おギンが口角を上げる。
「タエさんや、よぅ来たのぉ。そかそか、持ってきたかぁ」
おギンは立ち上がったと思うと、いつの間にかタエのすぐ横に立っていた。
「じゃあ、それを持っておらに連いてこい」
そう言うと、おギンは戸の外に出た。タエも慌てて後に続いた。
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