魔法が効かない私に魔法をかけた彼。

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レモンミルク事変でドーンがみせた、ティーポットを冷たくする大魔法が、熱っぽい頭をキュンと冷やす。 そのおかげで、バズーカに次弾が装填して、引き金を引くことができた。 「待って」 彼は立ち止まると、恐る恐るといった様子で振り返った。 「ティーブレイカージュン、読みました?」 「う、うん。バズーカアフタヌーンティーの前作だよね」 「この後、予定がなかったら……その、感想会しませんか?」 私にとっては一世一代の砲撃だった。もしも断られたら次弾もなく、たぶんハーブティーも啜れない体になってしまうだろう。 気恥ずかしさで私が目を伏せると、彼の砲弾が飛んできた。 「ぼ、僕でいいならぜひ。か、感想会、したいなー」 良い返事をもらえた嬉しさで、急に顔を上げると、彼は驚いた様子で視線を彷徨わせていた。 そのせいで私の目も泳いでしまう。 「む、向こうで、どうですか?人も少ないし」 「そうだね、立ち話も、なんだしね」
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