魔法が効かない私に魔法をかけた彼。

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ちょっと気持ち悪いけど、変な人ばっかりの学校だから、いちいち気にしてたらきりがない。 私は、中庭のベンチに腰掛けて、図書館で借りてきた本を開いた。 お気に入りの作家さんが書いた長編小説だ。 異世界のファンタジーで、なかなかに味がある一作。 主人公が、取っ手の外れたティーカップを直したところまでは読んだけど、その理由がまだ判明してない。 さてどんな理由が……。 なるほど、ヒロインのティーカップだったのね。 ヒロインと接点を持ちたいけれど、陰から見守るしかできない。 またいつものように、お茶を嗜むヒロインを眺めてた主人公は、飲みにくそうにしてるのを見て、閃いた。 取っ手を付けてあげれば、彼女は喜ぶだろうし、接点を持てると。 なるほどなるほど。 長かったなあ、ティーカップの取っ手を直すくだり。 無言で直すのは気持ち悪いかなーとか、余計なお世話かもと逡巡したり、取っ手を直す魔法を覚えるのに3日掛かったりと、だいぶページを割いてる。
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