魔法が効かない私に魔法をかけた彼。

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それだけ、必死だったということかな。 ゴーン、ゴーン。 昼食終了の鐘が鳴った。 本に意識が吸い込まれて、時間が経つのがとても早い。 そういえばと思い、顔を上げるが、木陰にはもう誰もいなかった。 ◇◇◇ 授業が終わって、私は図書館にいた。 学校終わりは必ず図書館に出向き、お気に入りの作家さんの本が入荷されていないかチェックするようにしている。 貧乏な私には、本を買うお金なんてないから、図書館はありがたい存在だ。 それに、家に帰ってもやることもないしね、 飲んだくれの父と働きづめの母がギスギスしてる家で、息を殺して本を読むよりも、図書館で本を読んだほうがよっぽどいい。 といっても、最近は図書館の様子も変わってきて居場所がない。 「フフフ」 「ハハハ」 どんどんと人が増えていき、私の周囲も埋まるんだけど、それがもう地獄のようで。 見渡す限りカップル、隣の人たちはキャッキャッウフフで、本すら読んでない。
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