魔法が効かない私に魔法をかけた彼。

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イブニングは不便だと思ってたから、大して怒りもせず、主人公と打ち解けたんだけど、それが良くなかった。 交わるはずのない二人が交わってしまい、世界にティーカップ大革命が起きて、レモンミルク事変に繋がってしまう……。 あれ? 「本当にごめんなさい。気持ち悪かったよね。ごめんなさい」 深々と頭を下げる彼を見下ろしながら、クリアだった私の思考が、なぜかぼんやりとしてしまう。 バズーカのように熱を帯びて、言葉という次弾を装填できずにいた。 無許可で魔法をかけられるのは、気持ち悪かったけれど……。 彼でなく、他の人ならばきっと、今もまだ気持ち悪いままだと思うけれど。 どうしてか、彼には気持ち悪さを感じない。 バズーカアフタヌーンティーの主人公がそうだったように、それだけ必死だったのかもしれない。 私と接点を持つために……。 「……も、もう行くね。ごめんね」 バツが悪そうに、立ち去ろうとした彼とすれ違う瞬間、私の中で何かが爆ぜた。
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