3:大好きなお姉さまとひきこもります

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 真っ白い丸いテーブル。彼の真向かいに座ってはみたものの、何をしゃべったらいいのかさっぱりとわからない。 「セシリア。おまえ、年はいくつだ?」 「七歳です。もう少しで八歳になります。シオンさまは?」 「十三だ……うん、十年後に結婚しよう。俺はおまえが気に入った」  なぜ急に結婚の話になるのか、セシリアにはさっぱりわからない。 「いやです。セシリアは結婚しません」 「あぁ?」  セシリアの答えが面白くなかったのか、シオンは紫の目でぎろっと睨みつけてきた。 「おまえ。俺がロックウェルの第二王子だと知っていたんだろ? こうやって身分を明かさずにいたのに。俺に気がついたのは、ケアード公爵以外にはおまえだけだ」 「ロックウェルの王族の方は、髪の色が特徴的です。と、お父さまが言ってました」 「なるほどな。さすが外交に長けているケアード公爵の娘だな。やっぱり、おまえ、俺の嫁になれ」 「いやです」  そこへティーワゴンを押しながら使用人がやってきた。テーブルの上にはお茶やらお菓子やらが並べられていく。 「シオンさま。これ、セシリアが作りました。食べてください」
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