3:大好きなお姉さまとひきこもります

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 どちらにしろ、エレノアは領主代理として忙しくなり、セシリアに魔法を教えるどころではなくなったのだ。だからモリスが、セシリアに魔法を教えている。  屋敷の二階から外を眺めていたセシリアは、正門の前に一台の馬車が止まったのを確認した。ケアード公爵の家紋がついている馬車だ。さらにもう一台、馬車が止まり、護衛の騎士らの姿も見え始めた。 「お姉さま、お父さまが来ました」  使用人たちに最後の仕上げとばかりに指示を出していたエレノアを見つけ伝えると、セシリアも慌てて玄関ホールへと向かった。 「お父さま~」  ホールに入ってきた人影を見て、セシリアはおもいっきり抱きついた。父親に会うのは一ヶ月ぶりだ。 「残念ながら、俺は君のお父様ではないが?」 「セシリア!」  父親の声は、少し遠いところから聞こえた。  おそるおそる顔をあげると、深緑の髪に紫色の瞳の男の顔が見える。父親の髪色は金色だ。 「だれ?」 「セシリア、お客様だよ。離れなさい」  その言葉で、ひしっと彼に抱きついていたことに気づき、ぱっと両手をはなした。 「お恥ずかしいところをお見せしてしまい、申し訳ありません。セシリア・ケアードです」
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