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今までのことはなかったかのように、スカートの裾を持ち上げて礼をした。
「はじめまして、セシリア嬢。私がコンスタッド・シング。当分の間、お世話になるね」
そう挨拶したのは、セシリアが抱きついた人物の隣にいる、黒髪の背の高い男性だった。茶色の目を細くした柔和な笑顔につられて、セシリアもへにゃりと顔をゆるませる。
「この子は、私の従者。ほら、シオン。挨拶をしなさい」
シオンと呼ばれた彼は、よくよく見るとエレノアよりも年下で、セシリアよりは年上で、むしろ少年と呼べるような男の子だった。そしてセシリアが抱きついた相手がシオンである。
「シオン・クラウス」
「あっ……」
また大量の記憶が、セシリアの頭に流れ込んできた。
(シオン・クラウス。クラウスは母親の姓。彼の本当の名は、シオン・ロックウェル。ロックウェル王国の第二王子)
だが、七歳のセシリアはぽろっと言葉にしてしまう。
「ロックウェルの第二王子……?」
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