3:大好きなお姉さまとひきこもります

10/21
前へ
/54ページ
次へ
 今までのことはなかったかのように、スカートの裾を持ち上げて礼をした。 「はじめまして、セシリア嬢。私がコンスタッド・シング。当分の間、お世話になるね」  そう挨拶したのは、セシリアが抱きついた人物の隣にいる、黒髪の背の高い男性だった。茶色の目を細くした柔和な笑顔につられて、セシリアもへにゃりと顔をゆるませる。 「この子は、私の従者。ほら、シオン。挨拶をしなさい」  シオンと呼ばれた彼は、よくよく見るとエレノアよりも年下で、セシリアよりは年上で、むしろ少年と呼べるような男の子だった。そしてセシリアが抱きついた相手がシオンである。 「シオン・クラウス」 「あっ……」  また大量の記憶が、セシリアの頭に流れ込んできた。 (シオン・クラウス。クラウスは母親の姓。彼の本当の名は、シオン・ロックウェル。ロックウェル王国の第二王子)  だが、七歳のセシリアはぽろっと言葉にしてしまう。 「ロックウェルの第二王子……?」
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

185人が本棚に入れています
本棚に追加