3:大好きなお姉さまとひきこもります

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 父親がエレノアの肩をポンと叩くものの、彼女はどこか上の空のようにも見えた。 「お姉さま?」 「あ、ごめんなさい、セシリア。これからシング公爵たちとお茶をと思ったのだけれど、お外のほうがいいかしら? せっかくだから、砂糖を使ったお菓子を食べていただこうかと思っているの。シング公爵は砂糖に興味があるのよね、お父様」 「そうだ」  父親は鷹揚に頷く。 「フェルトンの砂糖を、ロックウェル王国に輸出しようと思っている」  今までも砂糖を扱いたいといった紹介は多かった。だが、それは国内にかぎって父親が許していたのだ。 「ロックウェル王国は、ケアード公爵領からも近いからな。場合によっては、砂糖の前工程はフェルトンで行い、後工程をロックウェル王国内で行ってもらってもいいと考えている」 「つまり、ロックウェル王国で砂糖を作らせるということですか?」 「ああ、いつまでもフェルトンで独占的に作っていると、ほかからも狙われる。むしろ、アッシュクロフ国王が、もう一度フェルトンを手にしたいと思っているだろうな。そして、エレノアのことも」
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