3:大好きなお姉さまとひきこもります

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 今回はシング公爵の案内ということもあり、母親は同行しなかった。 「もちろんだ。まちがいなく、お母様も気に入るよ」  そう言った父親は、セシリアの頭をポンとなでた。  これ以上、話しの邪魔をしてはならないと思ったセシリアは、執務室を出る。  エレノアはレナードと茶会。父親は仕事。  となれば、セシリアは一人ぽっち。そして、こういうときにかぎってモリスは外に出ている。いや、さとうきび畑の確認に言っているのだ。つまり、仕事である。  接待も仕事もないセシリアは、厨房に向かうことにした。また、砂糖を使ったお菓子を考えよう。 「おい」  ホールを抜けようとしたとき、頭上から声が振ってきた。 「俺をもてなそうとは思わないのか?」  シオンだった。上からセシリアを見下ろしている。 「シング公爵さまとご一緒ではなかったのですか?」  てっきりエレノアが二人をもてなしているだろうと思っていたのだ。 「人の恋路を邪魔すると、馬に蹴られるんだよ」
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