3:大好きなお姉さまとひきこもります

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 先ほどの結婚話などなかったかのように、セシリアが明るい声をあげる。  セシリアはシオンにも『さとう氷』をすすめ、父親にしたときと同じような説明をした。 「なんだ、これ。かりっとしていて、ふわっとしていて。甘くて美味しい」  シオンも一瞬にして『さとう氷』の虜になったようだ。 「そういえば、なんで公爵は外交大臣を辞めて領地に引きこもったんだ? それに、エレノアは王太子ジェラルドと婚約していたよな?」  セシリアが子どもだから、ずけずけと聞いてくるのだろう。もちろんセシリアは駆け引きなどできずに、馬鹿正直に言葉にする。 「なるほどな。王太子ジェラルドがバカだというのはよくわかった。あと、イライザという女か? まあ、エレノアを捨ててそいつを選んだというのなら、そいつには何か特別な魅力があるのか?」  あやうく「聖女だからです」と言いそうになって、その言葉を呑み込んだ。謎の記憶については、けしてほかの人には言わないようにと父親からきつく言われているし、まだイライザが聖女だという話も聞こえてこない。  そこへ「セシリア~。お腹が空いた~」とモリスがやってきた。 「あれ? お客様?」
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