185人が本棚に入れています
本棚に追加
「ええと、こちらはロックウェル王国のシング公爵に仕えている従者の方」
シオンが第二王子だというのは秘密なのだ。
「はぁ? バカ王子じゃん」
「げ、賢者のばばぁ。おまえ、アッシュクロフの王都に行くって言っていたよな? なんでここにいるんだ」
「お二人とも、お知り合いですか?」
セシリアはきょとんとして、二人を交互に見やった。
「俺の魔法の師匠だ」
「私のバカ弟子のひとり」
どうやら師弟関係にあったようだ。
「モリスもどうぞ。喉が渇いたでしょう? お菓子もありますよ」
「さっすがセシリア、やさし~」
そう言って、モリスはシオンとセシリアの間に座る。
「セシリア、ばばぁに親切にしてやる必要はない」
「でもモリスは、セシリアの魔法の先生です」
「そうそう、セシリアは私のかわいい生徒。どこかのバカ弟子とは大違いよ」
「あ。シオンさまは、セシリアの兄弟子になるわけですね?」
ぱっとセシリアの明るい声で、シオンはほんのりと耳の下を赤らめ、ぽりぽりと頬をかく。
「いや、それよりもだ。なんで、ばばぁがここにいるんだよ。王都セッテにいるんじゃなかったのかよ」
最初のコメントを投稿しよう!