3:大好きなお姉さまとひきこもります

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「ええと、こちらはロックウェル王国のシング公爵に仕えている従者の方」  シオンが第二王子だというのは秘密なのだ。 「はぁ? バカ王子じゃん」 「げ、賢者のばばぁ。おまえ、アッシュクロフの王都に行くって言っていたよな? なんでここにいるんだ」 「お二人とも、お知り合いですか?」  セシリアはきょとんとして、二人を交互に見やった。 「俺の魔法の師匠だ」 「私のバカ弟子のひとり」  どうやら師弟関係にあったようだ。 「モリスもどうぞ。喉が渇いたでしょう? お菓子もありますよ」 「さっすがセシリア、やさし~」  そう言って、モリスはシオンとセシリアの間に座る。 「セシリア、ばばぁに親切にしてやる必要はない」 「でもモリスは、セシリアの魔法の先生です」 「そうそう、セシリアは私のかわいい生徒。どこかのバカ弟子とは大違いよ」 「あ。シオンさまは、セシリアの兄弟子になるわけですね?」  ぱっとセシリアの明るい声で、シオンはほんのりと耳の下を赤らめ、ぽりぽりと頬をかく。 「いや、それよりもだ。なんで、ばばぁがここにいるんだよ。王都セッテにいるんじゃなかったのかよ」
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