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セシリアの頭の中には、久しぶりに謎の記憶が浮かんできた。
学園を卒業して半年後に聖属性の魔法が使えるとわかったイライザだが、それは王都セッテを訪れていた賢者モリスによって引き出されたものだ。
(つまり、イライザはモリスと出会っていないから、聖属性の魔力に目覚めていない?)
本来であれば、セッテに聖女がいると聞きつけたロックウェルの第二王子シオンがイライザに会い、彼から話を聞いたイライザは王妃を助ける。それによって、ロックウェル王国とアッシュクロフ王国の関係が強固なものとなるのだ。
(あ……お姉様を処刑したのは、シング公爵だわ。ロックウェルの騎士団長。これもロックウェル王国とアッシュクロフ王国の関係を見せつけるために)
「どうした? セシリア。急に黙り込んで」
スプーンを持ったまま、ぴくりとも動かぬセシリアを心配したのだろう。尋ねるシオンの声はやさしい。
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