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「ただいま」
アパートの2階に上がり自分の部屋のドアを開けて私は叫ぶ。返事はない。当たり前だ。私は一人暮らしなんだから。
私には愛する彼がいる。
会いたい。
今すぐに会いたい。
でも彼とは遠距離恋愛中なのだ。
前に会ってからどれくらいたつのか忘れてしまった。
ベッドにゴロンと横になって思う。
やっぱり会いたい。
思いきって会いに行こうかな。
彼は今どうしてるだろう。
彼と2人でいる時のことを思い出すと、もういてもたってもいられなくなった。
私は服を着替え、荷物もそこそこに部屋を飛び出した。
階段を駆け降りる。
一目散に駆け降りる。
1階に降りると合鍵を使って1階にある彼の部屋を開けた。
「ただいま」
「おう。どうしたの」
「会いたかったの」
「なんじゃそりゃ」
私は彼に抱きついてキスをした。
「なんか飲むか?」
「ううん。帰る」
「そうか。明日なんか食べに行く?」
「そうだな…わかんない」
「そっか、また連絡してよ」
「うん」
最後にもう一度キスをして私はまた階段を駆け上がり、自分の部屋に戻った。
そうなのだ。
明日会えるかどうか、うかつに返事はできないのだ。
なんたって私たちは遠距離恋愛なのだから。
会えたとしてもわずかな時間、そして次またいつ会えるかわからない、これぞ恋愛だと私は思っている。
THE END
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