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プロローグ
父さんは呆然としている。分からなくなっていた。ここが何処なのか。立ち尽くす先に対峙するように向日葵が咲いている。鮮やかに、柔らかに黄色の風が吹く。
「そうだ……ここは我が家だ」
ふらふらと歩きだし手を伸ばす。風に揺れる。
「なぁ、俺の想いは届かなかったのかな」
目の前に咲く向日葵に話し掛けた。父さんの目からゆっくり一筋のものが流れる。その瞬間、両膝を付き両手を付いた。涙が止まらなくなっていた。
「帰って来たくなかったのかな。帰って来たくなかったのか……それとも……」
部屋から覗くと庭の前で泣き崩れる父さんがいる。父さんが願いを込めた向日葵が咲き誇る庭が残酷な世界に映った。私は声を掛けることが出来ずその場を離れた。
「ねぇ、母さん……」
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