ニチアサよ、祝福あれ。

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ヒュールルンルン!ヒュールルンルン! ヒュールルンルン!ヒュールルンルン!  日曜日の朝。  薄暗いリビングに、軽快な音楽が鳴り響く。 プーリティでぇ!キぃラキぃラ! ふったりぃ↓ぅわぁ↑ 『おい今朝もだ、よく続くもんだぜ』 『はい、素晴らしい行いです』  なんと5時である。  あくびをしながらテレビ画面に目を向けているのはひとりの少年。 『プリキラ?飽きないもんかねぇ』 『さあ?ただひとついうならば、早起きは三文のハレルヤです』  画面に映る女児向けアニメを、別段愉しそうでもなく眺めている少年。  無理もない。この子は今『ベイソードX』というベイゴマ玩具に夢中なのだからして。 「もういっぱいみたしなぁ…」  もちろん『プリキラ』が全くつまらない訳ではない。しかしどちらかといえばゴーショットしたいお年頃である。  チラチラと背後を見る小学2年生。どうしても気になってしまうのだ。  昨晩ママからお叱りを受けるも、けっきょく片付けないままのベイドームX。椅子から立ち上がりほんの20秒もあれば超エキサィティン!できるのだ。 「もうプリキラ、け、けっこーくわしくなったしなぁ…」  ベイソードXを射出する位置を変えると素早くXアタックを仕掛けられる事に、突然思い至ったのが昨晩である。  けっきょく防御型が強いと思い込んでいた彼にとって、この気付きは正に天啓であった。 「しょーがないよなぁ、ためしたいセタップがあるからなぁ…」  ママに阻まれ試す事の出来なかった、超攻撃型仕様のベイソード。  両親の目覚まし時計が鳴るまで、あと1時間。  あどけない欲望に、少年の鼻息が荒くなってしまうのも、ちょっぴり仕方ない。 『お、プリキラ一話終わるぜ』 『はい、では今朝一発目。いざ尋常に』  さて、おそばせながら。  先程まで少年の背後でヤイヤイ勝手な事を言い、今は左右に分かれハンドスピーカーを構えている者達について説明せねばなるまい。 『ヘイヘイ!もうプリキラなんざ止してよぉ!ベイソードXのアニメに変えちまおうぜ!ソレ観ながら超攻撃型にセタップさ!ママとお父さんもまだ起きてこない。ごきげんな朝をお約束だぜぇ?』 『なりません!ママが許可したのはプリキラの視聴のみでしょう!?なればそのまま次の話に移行しつつ、ベイソードXはお片付けするのです!キレイになったリビングを見れば、ママのお小言も軽く済む事うけあい!』  この二つの存在は『プレゼンター』。  賢い癖に馬鹿なヒト共の行く末が心配になっちゃった天界から、助言してやってねと遣わされた存在。  誰しも迷った時に現れる、頭の中のアレである。 『遊んじまえよぉ!チョー!オモシロかっこいいぜ!?』 『学校の準備も整えておけばポポリナペーペルトです!』  身勝手な天使と悪魔は、いつだって少年の心を惑わせるのだ。
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