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爽やかだがすっかり寒々しい月曜日。
雲も少なく晴れやかな天気。
裏腹に、少年の顔は暗くその足取りは重い。
プレゼンター達も大人しく少年を見守っているが、静観を決め込んだその理由はそれぞれだ。
悪魔はもう放り投げた。
天使はもう怒り疲れた。
「………………」
大抵の朝は楽しそうに教室に入る少年だが、今日ばかりはそっとドアを引く。騒がしくしている同級生等に軽く手を挙げただけで挨拶を済ませたのも、もしかしたら初かもしれない。
少女は既に座っていた。すーんとしていたが、少年の姿を目でとらえると僅か、表情が固くなる。
「…………ぉぁょぅ」
「…………ぅん…」
はっきりと喧嘩した訳ではない分、お互いどういう態度をとったらいいのか分からないんだろう。プレゼンター達も何言ったりはしないが、めっちゃそわそわしている。口を出さないだけ偉いもんだが、汝等の存在意義としてはどうなのか。
そのまま始業ベルがなる。間もなく担任が教室に来てしまう。
黙ったままの2人に、遂に業を煮やしたか。
『気にしてないって伝えろ。それでしまいだ』
『プリキラを視聴するのは決して恥ずべき行いではありませんと伝えなさい。そしてはじまれ』
『無責任だオマエは』
『無責任です貴女は』
『あ?』
『あぁん?』
額をカチ当てメンチを切り合っているチンピラ共を余所に。
少年はひとつ、大きく息を吐いた。
ふと、隣を向いて。
「ボクは、ずっとみるよ」
ただ一言。
たった、それだけ。
しかし伝えた少年の、決意という輝き。
それはとても微かで、ほんの数瞬の間にたちどころに消えてしまうようなもの。
だが光は、その光は。
映した少女の瞳に、何度でも瞬いた。
「………………………」
青白い頬に、仄かな熱が差す。
硬直した身体が解けて、心には安らぎを与え、ついでにプレゼンター達を黙らせた。
「…………えへっ」
困ったようにはにかんだ少女。
「わたしも、ずっとみるね?」
その笑顔に、少年も微笑みで応えて。
「うんっ!」
「えへっ!」
やりとりはそれだけ。
そのあとは、前を向いていた。
確かに交わした、その約束。
仲直り、できたのだ。
やがて担任が到着し、騒がしかった教室は静かに朝の会を迎える。
『『ぼおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!』』
うるせぇのはこいつ等だけである。
『ボン!ええおいボン!オマエ最高にイカした男だぜ!流石アタシのボンだ!見ろよ隣の子のツラ!すっかりぼやけちまって何にも見えねぇじゃねぇか!泣いちゃってんじゃねぇのか!?アタシか!』
『嗚呼!ボン!嗚呼!嗚呼!嗚呼!何と愛に満ちた言葉でしょう!何と尊い心根でしょう!尊い!尊い!尊い!ハレルヤ!ハレルヤ!ハレルヤ!ハレルヤのギアフィフス!』
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