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Prologue
【恋する乙女•ロゼッタ視点】
リンリンと、澄んだ呼び鈴の音が店内に鳴り響く。
「いらっしゃいませ!」
私、ロゼッタはカラフルなお菓子袋の陳列の手を止め、明るく声を掛けた。ここは王都にあるカフェ、ローズガーデン。オフホワイトとパステルピンクを基調にした店内は、王都で初めての個室付きカフェだ。六室の個室とオープンスペース、お持ち帰りも出来るカウンターを備えている。
私は一番の笑顔を作って待ち望んでいた彼を出迎えた。私の長い金から桃色に変わる髪の毛はポニーテールにしてまとめてある。真っ赤な薔薇の髪飾りはいつも着けている想い出の品だ。シンプルな茶色地にワンポイントの刺繍をしたエプロンをした私は、今年で齢十九になるこのお店のオーナー兼ウェイトレスである。
「ルーファス様! 今日も来ていただけて嬉しいです!」
「やぁ、また来てしまったよ」
銀の髪を一つに束ね、騎士団の黒地に白ラインの制服を着こなしている彼は、ルーファス様。美しいアーモンド型の目元に翡翠の瞳をしていて、程よく筋肉質でスラリとした体躯の麗しい男性だ。
(そして私の――大切な初恋の人)
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