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『今日はこころの成人式。姉さんも着ていた振袖はよく似合っていた。こころは姉さんにそっくりだ。とても綺麗で、変な男が寄って来るんじゃないかと心配だ。こころ、もうこんなにも大きくなったんだな。娘になってくれて、ありがとう』
胸がジンと熱くなって、ぼやけた瞳から涙が溢れて零れ落ちる。落ちていった涙は日記帳の上に落ち、父の書いた文字を濡らした。
そんな私を横で見守る母の視線を感じながら、私はまたページを捲る。
『こころが婚約者を連れて来た。姉さんをあんな風にした酷い男だったらどうしようかと不安だったが、こころが選んだあの男ならきっと大丈夫だろう。ビールが好きらしいから、今度飲みにでも誘うか』
『今日はウェディングドレスを選んだらしい。母さんが写真を見せてくれた。息を飲むほど綺麗だった。それと同時に、もう家を出て行ってしまうんだと悲しくもなった。絶対に幸せになれよ、こころ』
父は、私のことをちゃんと見てくれていた。言葉にしてくれないだけで、こんなにも私のことを、想ってくれていた……。
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