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 ……なんか、ろくでもない影響与えそうだな、亜衣の恋愛観に。 「なに言ってんの。亜衣も面食いかもしれないけど、あんたも昔から面食いだったわよ」 「そんなことないだろ」 「あるわよ。私の友達でもかわいい子にばっかり懐いてたじゃない」  運んできたお茶を並べながら、そんなことを姉が言う。年が離れていることもあって、この手の話で勝てる気はしないのだ。「はい、はい」と適当に相槌を打てば、あっさりと話が流れていく。 「亜衣はね、変なところが悠斗に似てるのよね。まぁ、悠斗はここまで素直じゃなかったけど。苦労してるでしょ、折原くん」 「いや、俺のほうが好き勝手させてもらってるんで」 「本当? とてもそうは見えないけど。おまけに、亜衣にまで気を遣ってもらっちゃって。でも、ありがとね。この子、六月に帰ってくるって悠斗に聞いて以来、ずっと楽しみにしてたのよ」 「そうなんだ。ありがとう」  小学校の話、いっぱい聞けて楽しかったよ、と続いた台詞に、もじもじとしていた亜衣が、ぱっと顔を輝かせる。 「じゃ、写真見せてあげる! 入学式とね、仲良し遠足の」 「仲良し遠足?」 「そー、六年生のお姉さんと一緒に行ったの。ちょっと待っててね!」  ぱたぱたと居間を飛び出した亜衣に、「ごめんね」と姉が苦笑を浮かべる。 「付き合わせちゃって。でも、折原くん、亜衣の相手上手だね。もしかして妹さんとかいたりする?」
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