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……また、なんか気にしてんな、こいつ。
なにを気にしているのかまではわからなくても、そのくらいのことはわかる。
なんで、そう、あれこれ考えるんだろうな。そういう性分なのだろうが、良し悪しだと思う。とくに、なにも言わず適当に自分で解決するところが。
一段落ついたことにして、保存してパソコンの電源を落とす。
「折原」
呼びかけると、穏やかに瞳がほほえむ。ずっとそういう顔をしていたらいいのに。
そう思ってすぐ、そういう顔をしているつもりなんだろうなと思い直した。
――まぁ、いいか。
自分から言わないことを、わざわざ聞き出す趣味はない。
「終わった」
「終わった?」
「うん、お待たせ」
「あれ、今日いいの?」
「いい」
頭を振ると、折原が苦笑をこぼした。
「知らないですよ、あんまり甘やかすと」
「なに」
「調子に乗るかもしれない」
試すようなことを言う瞳を見つめ返し、小さく笑う。べつにそのくらいどうでもいいことだ。それに、俺には、いつも控えめに抑えているように見える。
これも性分と言ってしまえば、それまでなのだろうが。
「たまには乗ってろ」
「本当、先輩、甘いですよね。俺に」
今度の苦笑は、先ほどよりも明確な困惑がにじんでいた。気がつかないふりで、「べつにいいだろ」と誘う。
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