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「ね、なんか、それはそれでいいですよね」  子どもみたいなこと言ってんな、なんか。呆れ半分で頷いて、手元に視線を戻す。あと少しを終わらせて、手を離した。 「終わった」 「ありがとうございます。っていうか、先輩、ちょっと慣れてる感じだったけど、部員の子にやってあげたりするの?」 「なんでだよ、チェックもぜんぶ部長に決まってるだろ。というか、高校生だぞ、高校生」  自分で管理できる年だろうと言えば、苦笑気味に首をひねって、折原が立ち上がる。 「先輩、真面目だったからなぁ」  出したものを片付け、ついでと洗い物まで始めてしまった姿をなんとなく見つめたまま、真面目なのはおまえのほうだろうと思った。  サッカーに対しても、日常の細々としたことに対しても。そんなことを考えているあいだに水の音が止まって、大きな手が頬に触れる。座ったまま見上げると、「もう触ってよかった?」と折原が言う。 「いいけど」  好きなようにさせながら、俺はもうひとつ言い足した。 「というか、べつにいつでもいいけど」 「え、……これも甘やかし?」  もしかしてと言わんばかりのそれを首肯すると、折原が「怖いんですけど、あとが」とあながち冗談とは言えないような顔で笑う。  ……そこまで塩な対応してないだろ、ふだんも、べつに。
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