プロローグ

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「そもそも、俺、女子高生に興味ないし。いや、男子高生にも興味はないですけど」 「それは、まぁ」  そうだろうけど、と応じるより早く、じゃあ、と折原が話を切り上げた。やけにあっさりとした態度に無言で見上げれば、無駄に整った人好きのする顔に苦笑が浮かぶ。 「いや、ほら。先生に用事なんじゃないかなって」  先生って、俺か。いや、まぁ、先生だけど。釈然としないまま振り返ると、渡り廊下に佇む有馬先生と目が合った。返された申し訳なさそうな会釈に、折原の言うとおりだったらしいと悟る。 「じゃあ、すみません。グラウンド行きますね、俺」  その言葉に視線を戻したときには、折原はもう歩き出していた。  ……なんだ、あいつ。  なにひとつとして釈然としなかったものの、意識を切り替える。わざわざ探しに来たのだろう相手に機嫌が悪いと誤解を招く表情を見せるつもりはない。  しかも、相手は、四月に入ったばかりの新任の先生だ。もっとも、学生時代から人気者だったのだろうなぁという明るい雰囲気と要領の良さでもって、深山の高等部にすっかりと馴染んでいるのだが。 「ごめん、なんだった?」  渡り廊下に戻って声をかけると、邪魔しましたか、と気を使われてしまった。苦笑まじりに首を横に振る。 「いいよ、どうせ、部活の様子見に行ったら会うし」 「そういえば、うちのクラスの女の子たちも騒いでましたよ。今日来るらしいって」  あいかわらず人気者ですよね、と笑った有馬先生が、後輩なんでしたっけ、と世間話の調子で問う。
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