プロローグ

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「まぁ、一応。でも、そんなこと言ったら、有馬先生の先輩でしょ」  私学の教師はそれなり以上に卒業生が多い。俺は高等部の途中で辞めているが、有馬先生は中等部、高等部と深山だったと言っていた。 「そうですけど。でも、僕、三つ離れてるんで、噂でしか知らないんですよね。あのころのサッカー部すごかったから……って、あ。今もがんばってると思いますけど」 「ありがと」  とってつけたそれに、もう一度苦笑を浮かべる。悪い子じゃないんだけど、思ったことがわりとそのまま言葉になるんだよな。という感想は、胸のうちに留める。  問題になりそうなレベルだったら、誰かが指導するだろうし。主に美作先生とか。先輩教師に丸投げして、「職員室に戻ろうか」と促す。  ――まぁ、それに、サッカー部の評価自体は事実だし。  折原が在籍していた――深山の全盛期と言われる時代が規格外だったことも。その当時を思うと停滞していた成績が、この一、二年で少しずつ上昇していることも。  顧問としても、一OBとしても、純粋にうれしいと思っているし、折原が来ることは良い刺激になるのだろうとも思っている。
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