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「先輩のとこは、明確にお姉さんが強いって感じですもんね」
「まぁ、年も離れてるし」
「いいじゃないですか。かわいがられてるってことでしょ」
年齢差だけが理由ではないと承知する調子でさらりと流し、でも、と折原が言う。
「子どもって一年ですげぇでかくなりますね。ちょっとびっくりした」
「ああ、まぁ、小学校に入って、けっこう年相応になったかも。たまにびっくりするくらい生意気なこと言うし」
「まだまだかわいいじゃないですか。遠足なんて単語、ひさしぶりに聞きましたよ、俺。先輩は日常かもしれないけど」
「まぁ」
高校生のそれと小学一年生のそれを一緒にすると、さすがに語弊がある気はするが。小さく笑って、キーボードを叩く。どうにか十時までには一段落つきそうだなと算段していると、ふっと笑う気配がした。
「それに、お姉さんも旦那さんも亜衣ちゃんのご両親って感じで、なんかちょっとほっとするし」
まぁ、たしかに、義兄については、気の強い姉が昔からベタ惚れなだけはある穏やかな人ではあるけれど。パソコンの画面から視線を離し、問いかける。
「おまえも実家、顔出せば?」
「そうだな、まぁ、また近々」
流しやがったな。思ったものの、それ以上の言及はやめた。代わりに、もうひとつ気になっていたことを口にする。
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