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家に着いたのは遅い時間で、出迎えは家族のみだった。居間にそろった家族は、旅の間のこと留守中のことをたずねあった。
近くに住むロベルト・シューマンを呼びに、彼になついている弟たちが駆け出して行った。階段を駆け上がる足音がすると、クララは長椅子からはねるように立ち上がった。
居間にはまず弟が入り、続いてロベルトが姿を現した。クララは顔を真っ赤にしたが、ロウソクの光の乏しさがそれを隠した。どんなに会いたかっただろう。手の届くところに立つ彼は、細身だが堂々とした姿をしている。暗がりで表情はわからないが、低くやさしい声にクララは涙がこぼれそうになった。
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