ショートコメディ 見つめる先は

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まったくもう。 あの子、またやってるわね。 私は小室さんの様子を見て苦笑した。 私は知っている。 彼女は所謂「腐女子」なのだ。 しかも現実でも妄想ができる、エキスパート級の。  以前彼女と話をした時に、漫画やアニメが好きだって聞いていた。恋愛、それもBLが特に好きらしいことも。私もそこまで詳しくないけど、嫌いという訳ではない。しかし彼女は私と違い、筋金入りのヲタクなのだ。  きっと加藤さんと相沢くんで妄想しちゃったんだろうな。確かに仲が良さそうだし。  でも加藤さんは既婚者だし、相沢くんも地元に彼女がいて遠距離だって言っていた。だから彼らが付き合っている、なんてありえないんだけど。  私はトイレから戻った小室さんが何となくツヤツヤしているのに気がつかない振りをして、コピー機のボタンを押すのだった。 【終わり】
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