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「そこで何してんねん? ちゅうか、なんで半グレ連中と仲良うなってん?」
優真君達と話していると、私が歩いてきた方向から歩いてきた岩島さんが、私の側で立ち止まる。
彼は私を探しに来たらしく、優真君達と話している私を見て眉を顰めている。
「知り合いですか?」
と聞きつつも、優真君は岩島さんを睨んでいて、他の人達も同じように岩島さんを睨むばかり。
「知り合いというより、一緒に住んでるんです。
辰さん、私のこと探しに来たんですか?」
一緒に住んでると答えた瞬間、優真君は驚いたように目を見開き、他の人達は何故か焦っている。
岩島さんは彼らをちらっと見た後、「はあ?」と間抜けな声を出して
「なんで、ワシがお前を探しにこなあかんねや? コンビニに用があっただけに決まっとるやろ」
「そうですか」
再び優真君達と話そうとしていると、彼らはチラチラと岩島さんの方を見ていて。気になってそちらを見ると、岩島さんは眉間に皺を寄せてこちらを睨んでいた。
なぜ睨まれないといけないのか、その理由が分からずに首を傾げていると、岩島さんは溜息を吐いて、
「そうですかってなんやねん。“探しに来てくれたん? ホンマ、嬉しいわあ”ぐらい言うべきやろ。
せやのに、“そうですか”って、冷たすぎひんか?」
「冷たすぎるって、辰さんが探しに来てないみたいなこと言ったんですよ? 冷たいのは辰さんの方でしょ?」
「知らん。お前はありがとう言うて、泣いて喜んどったらええねん」
私が言い返すと、岩島さんは真顔で暴論を言ってのける。
冷たい風が吹く中、茶色の落ち葉はヒラヒラと宙を舞い、岩島さんの足元に辿り着いた。
「コンビニに迎えに来たくらいで、泣いて喜ぶわけありませんよ。というより、一人で帰れますし」
「お前、言い訳ばかりしとるけど、照れくさいんか?」
はあ、と私は間抜けな声を出して、
「違います。だって、そんなに歩いてないし、ここから家まで十分くらいの距離ですよ? 言い訳する意味がわかりません」
「とか言うて、道がわからへんさかい、そいつらに聞いとったんやろ?
そんなん、ワシに電話すればええ話やん」
岩島さんは真顔で話しているが、私の顔は不快を顕にしていて、優真君達は私と岩島さんを交互に見ている。
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