ただいまと言える相手

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ただいまと言える相手

 オレにも、ようやく「ただいま」と言える相手が見つかった。 「ただいま~」 「おかえり!」  彼女は、中学校時代の同級生だ。  何年かぶり、オレが社会人になってから偶然再会して、そのまま昔話をするうちに、なんとなく付き合うようになった。  彼女は、「実は私、ずっと圭くんのことが好きだったの。だから、お願い。ずっと一緒にいて!」と、猛烈に迫られて、そのまますぐに結婚しようと言う事になった。  大学を出てから、一人暮らしだった。それなりに恋愛もしたが、彼女は特別だった。 「いやあ、今日も疲れた。でも、加奈ちゃんの顔を見ると、疲れも吹っ飛ぶね」 「ほんと!? 嬉しい! 圭くん、大好き! 圭くんのお嫁さんになれて、私本当に嬉しい!」 妻の加奈は、満面の笑みでオレに抱き着いてきた。 「ああ、オレもだよ。あの病弱だった加奈ちゃんが、こんなに元気になってて。オレも人生史上、最高に幸せだよ!」  オレはそのまま加奈の唇に吸い付いた。 「ま、待って。お料理しちゃうからね」  そのまま押し倒しそうになったが、加奈は料理中ということもあって、オレのハグから離れて再びキッチンへと戻って行った。 「幸せって、こういうことを言うんだろうか。えへへ」  知らず知らずのうちに、にやけていた。  小学生のころに夢見た、絵に描いたような新婚生活に、オレの幸福度は人生最大になっていた。
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