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「チッ、くそ。罠だったか…。」
「うふふ。獲物の方から転がり込んでくるなんてラッキーだわ~。」
いきなりマウントをかまされた俺は一瞬、動揺する素振りをみせた。女はナイフをちらつかせて余裕の笑みを浮かべる。
″勝ち気な奴だな…。なら…策に出るか…。″
「くっくふふ…あははははっ!馬鹿な奴、俺は、おとり捜査官だ!まんまと罠にハマったな。このまま署まで連行するから覚悟しろ!」
俺は懐から警察手帳を取り出すと女に見せ冷酷に嘲笑った。それをまじまじと見て、びっくりしたのか動揺する女は慌てて言い返してきた。
「…ええ!?…け、刑事さんなの、、。」
「ふふっ、お前は、もう鳥籠の中の鳥だ。仲間が見張ってる。逃げ出そうとか変な気を起こすなよ。」
「うう…。」
女は観念したのか、しょんぼりして頭を垂れた。
そのまま少しの間、車を走らせていると沈黙していた女が急に笑いだした。
「…ふふふ…。うふふふふ…。刑事さん…実は、あたし…幽霊なんです……。」
女は後ろから手を伸ばして俺の背後から首を締めてきた。その手は氷のように冷たく死人のようだ。俺は首を締められるのと同時にバックミラーから見える髪を乱して不気味に目を見開いている女の顔を見て全身に鳥肌が立った。
嫌な予感が的中した。やっぱりこの女は幽霊だった。
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