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「チッ、くそ。罠だったか…。」
「…オマエを呪ってやる……。魂を道連れにしてやるから覚悟しろ……。」
いつの間にか白い三角頭巾をかぶってる女は両手で俺の首を握り締めて力を込めてガクガクと揺さぶりだした。
「ヒィィィィーッ!」
俺は恐怖で悲鳴を上げると急ブレーキを踏んで車を止めた。女は、その反動でヘッドレストに顔をおもいっきりぶつけると「ぶはっ!」と声を上げて後ろのシートの背もたれに吹っ飛んだ。
すかさず俺は背もたれに体重を乗せて倒し女を挟むと見事に女を拘束する事が出来た。
俺は上体を起こし横目で女を睨むと呆れたように言葉を吐いた。
「少しは落ち着いてくれよ。事故ったら元もこうもないだろ?」
「うるさい!男は、みんな変態でしょ!あたしをからかって笑ってんでしょ!さっきの男も襲ってきたし、男なんか死んでしまえばいいのよ!」
女は俺に思いの丈をぶちまけると凄い剣幕で睨んできた。
「せっかく助けたのに酷い仕打ちだな…だから女は嫌いなんだよ…。どいつもこいつも文句ばかり言ってロクに感謝もしない。君の言う事は否定しないけど俺は違う。ただ帰りたいだけだよ…。」
落胆した俺は音楽を止めると無口のまま車を走らせた。前屈みで運転するのは疲れるが、ようやく町の電灯の明かりが見えてきて出口が近い事を確認した。
「ふぅ、やっと明かりが見えた。もうすぐ大通りに出るから安心して。」
俺は振り向きもせずに手短に伝えた。
あれから女は黙ったままピクリとも動かない。きっと俺が言った事に怒っているんだろう。
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