第八章

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「エミー。絶対に無理だけはしないでくれよ」 「はい、お兄様。私を信じてください」  アルフォンスはその言葉に力強く頷いた。  潜り込む通気口が建物の上部にあるため、エミーリアはローランに担ぎあげられた。 「入れそうか?」 「はい。行きます」  エミーリアはしゅるしゅると身体を潜り込ませた。騎士服は動きやすく身体に馴染んでいる。  先ほどと同様に細くて不自由な狭い場所を這うようにして進んでいく。だが、今は全ての魔力が解放されている。バジムからもらった耳飾りに触れると、それは弱弱しく光り始めた。  真っ暗闇を進むよりは、明かりがあったほうが心強い。頭の中で先ほど見せてもらった地図を思い描きながら、前に進んでいく。  ガクっと身体が重くなる瞬間があった。 (結界内に入ったのね)  全魔力を解放したおかげで、結界の内と外の違いをはっきりと感じた。  彼女ははっとして耳飾りの明かりを消す。先に視線を向けると、下側からぼやっと明かりが広がっていた。店の大広間の上部にきたのだ。  隙間から下を覗くと、黒ずくめの人間が行ったり来たり、忙しなく動いている。 (他に、魔石を飲まされた人間はいなそう)
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