第七章

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「はい、喜んで」  営業用の口調で答えてみたが、心の奥にはずしんと重い石が乗せられたような感覚があった。 「そうだ。これ、アンちゃんに似合うと思って。途中で買ってきたんだ」  そう言ったバジムは、上着の内ポケットから小さな箱を取り出した。内ポケットに入るくらいの小さな箱だ。 「開けてもいいですか?」  客から贈り物をされたときは、断らずに受け取りなさい。それがこの店の教えである。 「もちろん」  小箱を開けると、浅葱色の魔石が輝く耳飾りが一つだけ入っていた。 「ほら。僕は魔石調査の専門だからね。少しだけ変わった魔石を手に入れたから、アンちゃんにと思って、加工してもらったんだ」 「ありがとうございます」 「僕がつけてもいいかな?」 「……はい」  躊躇いがちに返事した様子は、バジムには恥ずかっているように見えたのかもしれない。  ひやっとしたものが耳に触れた。 「ほら、よく似合っている」  バジムの浅葱色の目が柔らかく揺らめいていた。 「アンちゃんは、いつも僕の話を真剣に聞いてくれるからね。それの御礼」 「嬉しいです。ありがとうございます」
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