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バジムとの出会いがこの場でなければ、彼とはいい友人になれた。だから、今の言葉も偽りではない。友人からの贈り物として、心から嬉しいと感じている。
「魔石はさ。人を魅了すると思わない?」
お酒を飲んだバジムは饒舌になる。特に魔石について熱く語る傾向がある。
「そういえば、アンちゃん。昔はこの辺にも魔獣が出ていたのを知ってるかい?」
それはエミーリア自身も気になっていた話題だ。
「そういったお話を聞いたことはありますが。詳しくはわからないです。魔獣と遭遇したこともありませんので」
「そうだよね、アンちゃんは若いからね」
「いつぐらいまで、魔獣はいたんですか?」
「あ、興味ある?」
頬を上気させたバジムは、嬉々とした笑みを浮かべている。彼はこういった知識をひけらかすような話題が好きだ。エミーリアも彼の話を聞くのは嫌いではない。
「魔獣がいたのは、魔石のとれる採掘場の近くと言われているんだ」
バジムのグラスが空になれば、エミーリアは酒を注ぐ。彼は機嫌よく、魔獣と魔石の話を続ける。
「ようするにね。魔石のある場所に魔獣が現れていたってわけだ」
どことなくバジムの顔が陰って見えた。
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