第七章

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 バジムが何を思ってそんなことを口にしたのか、エミーリアにはわからない。だが、これから何かよくないことが起こるのではと思わずにはいられなかった。 「バジムさん。私、お祭りでは射的をやりたいです。だから、絶対に連れて行ってくださいね」  今、エミーリアが彼に言えるのはそれだけだ。  エミーリアと散々話をしたほろ酔いのバジムは、気分よく店を去っていく。  彼女も、あがる時間となっていた。まだ新人の域を出ない彼女は、店に出る時間も他の者と比べて、少しだけ短い。その代わり、朝早く起きて店の片づけや掃除を行う。  部屋に戻ったエミーリアは、トレイシーに定期便を飛ばす。バジムの言葉が気になった。その気になった内容を包み隠さずトレイシーに報告した。  明日の朝までには、トレイシーからの返事も届くだろう。
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