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とにかくエミーリアは、話の聞き手として徹する。相手が気分よく喋れるように場を盛り上げる。
男たちの笑い声があがり、イレーヌの上品な微笑みが浮かぶ。そこにエミーリアは口元を少しだけ綻ばせる。
そういった些細な歓楽の時間に、似合わない激しい音が聞こえた。
――ドンッ!
「え、なに?」
イレーヌが慌てて立ち上がった。それに釣られて男たちも立ち上がる。エミーリアだけは、音がした方向に黙って視線を向けた。
音は建物の入り口のほうから聞こえた。乱暴に扉を開けたとか、そんな生半可な音ではない。どちらかといえば爆発音に近かった。まるで、魔石を用いて爆発させたような音であり、 エミーリアは昔にもそれと似たような音を聞いた記憶がある。
「はい、みなさぁん。楽しい時間は終了ですよ?」
黒ずくめの人々が、中にぞろぞろと押し入ってきた。
「はい。今すぐ死にたくなかったら、俺たちの言うことを聞きましょう」
リーダー各と思われる男が手にしているのは魔導銃である。その周囲にも同じように魔導銃を構えた人たちがいた。
「きゃっ」
「うわ」
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