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「それは、君に贈った髪飾りだな。これに俺の魔法を付与しておいた。君の気配を感じなくなってこちらに足を運んだら、この建物の入り口の前で追い返される人がたくさんいてな。何かあったのだろうかと気が気ではなかった。それでもさっき、君の気配をまた感じられるようになったから、こちら側に来たんだ」
この髪留めにそのような意味があったとは、エミーリアも知らなかった。そのおかげで今、ローランに会えた。
「少しだけ、抱きしめてもらってもいいですか?」
すぐに中の様子を伝えなければならないのはわかっている。
「どうしたんだ? 急に甘えて」
言いながらも、ローランはエミーリアをぎゅっと抱きしめた。
彼の熱に包まれながら、彼女は中の様子を報告し始める。
「突然、黒ずくめの男たちが押し入ってきて……」
ローランは彼女を抱き締めながら、黙って話を聞いていた。
エミーリアも相手がローランであるからこそ、落ち着いて伝えることができる。
「すぐに、第五部隊を動かす。君は、安全なところで休んでいなさい」
その言葉にエミーリアは首を横に振る。
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